結婚式場やドレスショップなどを展開するブライダル業界が、いま大きな転機を迎えている。コロナ禍による打撃を乗り越えたかに見えたが、結婚式そのものへの需要が長期的に低迷し、業界は厳しい局面に立たされている。
2024年度には、結婚式場や相談所の倒産が13件、休廃業・解散が37件にのぼり、いずれも過去最多クラスの数字を記録。業界の縮小傾向が明らかになっている。
増え続ける「ナシ婚層」…式を挙げない選択が当たり前に?
背景には、価値観の多様化がある。近年は「ナシ婚層」と呼ばれる、結婚式を行わないカップルが増加。お金がないわけではなく、「生活費や新婚旅行に回したい」といった理由から式を省略する傾向が強まっている。
また、SNSの普及により、写真撮影だけで済ませる「フォトウェディング」のニーズが拡大。2022年にはその市場規模が1000億円を超えたとも報告されている。
若者の間でも「そもそも結婚って必要?」といった声が聞かれ、結婚そのものの価値が再定義されつつあるのが実情だ。
平日のチャペル開放、7万円台の式……新たな収入源の模索
こうした状況を受けて、業界各社は次々と新サービスを打ち出している。
例えば、大手ブライダル企業ノバレーゼでは、空いている平日を活用し、結婚前のカップルを対象にした音楽イベントをスタート。普段立ち入れないチャペル空間を体験してもらうことで、将来的な式の誘致につなげる狙いだ。
一方、株式会社レックが展開する「小さな結婚式」は、7万円台から式を挙げられるサービスを提供。挙式のみや会食とのセットなど、予算やライフスタイルに合わせた柔軟なプランで、経済的な理由や再婚、子ども連れのカップルなどに対応している。
「結婚=式」はもう古い? 多様なニーズに応える時代へ
従来の「豪華な結婚式が常識」という価値観は、すでに過去のものとなりつつある。今後、ブライダル業界が生き残るためには、土日祝日だけに頼らず、平日も含めた施設活用、そして多様化するニーズに応える柔軟なサービス展開が不可欠だ。
ノンフィクションライターの石戸諭氏も「コロナ禍は結婚式の存在意義を根本から問い直す契機になった」と語る。未婚率の上昇や晩婚化が進む中、「結婚しない自由」も広まりつつある。
だが、結婚という選択をする人々がいなくなるわけではない。その少数派となりつつある“結婚したい人々”に寄り添い、その想いを叶えるための改革こそ、今のブライダル業界に求められている使命だ。
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